成年後見制度について


~わたしが私らしく生きるために ~
山科すみれ園で取り組みたいことの1つとして、成年後見制度の推奨が挙げられます。

これから先の時代は、更に家族形態や自分の生き方が多様化し、これまでの支援体制では様々な課題が発生すると見込まれます。

私たちの考えや試験的な取り組みについて説明したいと思います。
1.後見人との業務確認書
2.任意後見制度の推奨
12:00~20:00
3.「自分らしく生きる」を考える

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症等により適切な自己決定が行い難くなってしまった場合に、裁判所から選任された後見人(弁護士・司法書士・社会福祉士等)が本人に代わって契約行為等を代行したり、適切な支援がちゃんと受けられているかどうかを確認します。
特養の申込では、身寄りがない、契約者が高齢の配偶者で先々が不安等の理由により成年後見制度を利用されている方が増加しています。
認知症があっても本人の言葉や意向を引き出し、支援に反映させていく努力が、施設や後見人には求められます。私たちが考える取り組みについてご確認下さい。

リンク➡厚労省「成年後見はやわかり」
実際の公開ページでは回答部分が閉じた状態で表示されます。

【成年後見制度利用時の特養課題】(任意後見除く) 
●本人の判断力が低下してから成年後見の申立てを行うため、本人の生活意向や死生観が、本人の状態によっては把握にしくい
 場合があります。
●身寄りがない場合、親族がいる場合に比べて本人の意向が軽視されたり、事故等があっても適切に対応されない可能性が
 考えられます。また後見人が本人の処遇に関心を示さない場合、施設側の気持ちが更に緩む危険性があります。
●看取り判断や医療方針(手術を受けるかどうか、入院するかどうか等)の決定等については、特養は決定代行出来ません。
 後見人も決定する権限がないのですが、親族代行として動いて欲しいという気持ちが特養側には働き、後見人に無理をお願い
 してしまう可能性があります。

これらは個人的な見解であり、山科すみれ園において考えられる可能性を示したものです。これらの課題に対して、私たちは次のように取り組んでいくことにしました。

  • 1.後見人との業務確認書を通じて互いの役割を明確化させます。

    成年後見人との業務確認書では、次の点についての確認を行っています。

    ①日用品の購入方法について
    ②入居者支援に関する特養の基本姿勢について
    ③受診対応について(施設の義務及び後見人に協力して欲しいこと)
    ④入居者自身の生活に対する意向確認について
    ⑤終末期対応及び葬儀に関して

    本人の意向が確認しづらい状況になった場合、親族がおられれば親族に意向を確認することが出来ますが、親族がいない場合、または親族の協力が得られない場合、本人の意向を代わりに表明できる人がいないため、様々な問題が生じます。
    山科すみれ園では、本人の意向を丁寧に汲み取っていくためにも、施設側、後見人側が互いに連携して対応し、また本人の意向に沿った対応支援を、関係者間で確認しながら行うことを目指しています。
    現時点では上記の点についてしか確認していませんが、当該後見人に意見を求め、また実践の中で適切に見直していきたいと考えています。

    (➡の図をクリックすると業務確認書がダウンロードされます)
    後見との業務確認書
  • 2.任意後見制度の利用を推奨していきます。

     任意後見制度とは、自分が正常な判断が出来なくなった場合に備え、予め後見人を自分で決めておく制度です。メリットとデメリットがあるため、選択される方があまりいないように見受けられます。私も今まで任意後見を付けておられる方の申込を見たことがありません。
    それでも、特に身寄りが無い方は任意後見の利用について一度考えてみて欲しいと思います。

    【メリット】
    • 自由契約が基になるため、してもらいたい内容を自由に決められます。例えば週に1回は訪問してきて欲しい、買い物をしてきて欲しいなど、してもらいたいことを契約内容に盛り込むことが出来ます。
    • 自分の意志をきちっと残せることで、より自分らしい生き方を選択できる。
    • 身寄りがない場合、任意後見契約をしておくことで、自身に判断力が無くなった場合でも任意後見人が成年後見を申立て出来る。身寄りがない場合、市町村長が申立が出来ますが、申立にかなりの日数を要するため、任意後見をしておられると特養は安心します。
    【デメリット】
    • 事前に契約した内容しかしてもらえない。
    • 自由契約のため別途費用負担がある。(法人後見をされているところは料金を明確にしているところが多いです)
    • 成年後見申立後、任意で指定した後見人に加えて、後見監督人が選任され、その人の費用も負担しなくてはならない。
  • 3.「自分らしく生きる」ってどういうことだろう?

    特養のサービスを提供する側として、よく「自分らしい生活を送って欲しい」という文言を使います。特にユニット型特養の基本姿勢は「個別性」であり、一人一人の意向や生き方に寄り添う必要があります。

    しかし一方で、特養は集団生活を基本としています。集団の単位は小さいですが、それでも私たちは入居者の日常生活を『集団』として捉えがちになってしまいます。❝〇時になったから寝ましょうね❞とか、❝みなさん、お食事の時間ですよ❞とか。

    私たちは『入居者の声を聴く』ように介護士には教育しています。どうしたいのか、どう思うのか、好きか嫌いか等。特養において自分が自分らしく生きるために必要なことは「選択できること」と「自分の意志を表明すること」だと、今は考えております。

    私たちは入居者の個別性について、知識や理論として理解しながらも、日常のルーティンワークの中で埋没してしまうことがあります。親族がおられる方であれば親族から支援方法について相談や要望があることで、自分達の支援内容を振り返り、反省する機会が得られます。親族がいない方でも、ご自分で意思を表明出来る間は、自己選択が可能です。しかし、特養は人生の終に向かって暮らす場であり、終末期に明確な自己意志の表明は難しくなります。認知症を発症する可能性も大いにあります。その時に、その人の意志は誰が支えるのだろうかと考えてしまいます。

    先ほども申しましたが、私たちも個別性を大切にしたいと思う反面、集団的な視点からの脱却は正直難しいものがあります。意思を表出しない、または理解しにくい場合は、集団の利益を考えて支援をしてしまいがちになります。自分自身の生き方を大切にするためには、きっと一人では成し得ないものだと思います。『特養に全て任せれば全て大丈夫!』では、『特養にとって❝都合の良い❞生活』に陥る危険性も考えられます。

    自分を支える公的なサービスは、現在は任意後見制度しかありません。正直課題や問題点も山積していると思います。この先、人々の生き方はもっと多様化し、その分だけ家族形態も変化してくると思います。家族を持たない生き方も増えると思います。従来の制度では家族とみなされにくい形態を選ぶ人も、きっとそれが普通になるぐらい増えていくと思います。

    今から、自分がどう生きていくのか、どう生きていきたいのかを考えてみませんか?
  • 4.法人として成年後見を運営されている組織

    一般社団法人 へいあん後見福祉ネットワーク 成年後見センター
    住所:京都市山科区上野御所ノ内町10-5 高山ビル202
    電話:075-582-5118 FAX:075-595-2248
    【業務内容】
    後見受任、後見申立相談、終活相談、任意後見受任、何でも相談等

    特定非営利活動法人 京都府認知症グループホーム協議会
    住所:京都市伏見区醍醐大構町1-1 デルパ醍醐211
    電話:075-708-3207 FAX:075-708-3208
    【業務内容】
    後見受任、後見申立相談、任意後見受任、第三者評価機関

    *許可を得て掲載させて頂いております。当園も成年後見の相談や助言を頂いております。

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